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    2017-02-25 19:06:28 | おーい!中村です!!

やなしお道の石


石見銀山から尾道まで銀銅を運んだルートの一部、美郷町のやなしお道には、所々に「荷置岩」、「大名岩」などの名前の岩がある。それほど大きな岩ではなく道端に置いたような雰囲気で、何かの目印代わりだったのかと思われるものだ。

数日前、知り合いからこれらの岩と石碑の岩石種がわからないかと問い合わせがあり、ちょうど近いうちに行ってみようと思っていたので、散歩がてら出かけてきた。以下は、その忘備録。




粕淵側のやなしお坂から街道に入ると九十九折の結構急な登りになる。
急斜面の木が伐採されていて見晴らしが良い。





坂の途中、「中の休」に最初の目的の石碑がある。

火山岩の一種、デイサイトでできている。おそらく大江高山系のもの。この石は銀山地内でも使われていて、例えば銀山川にかかるアーチ橋「羅漢寺橋」がこの石でできている。




登っていき、尾根上に出たあたりで「荷置石」が現れる。
上が平らで確かに荷を置いて一休みするのに良さそうである。
岩石種はこのあたりの岩盤を作っている流紋岩らしい。らしい、というのは、風雨にさらされて風化し、コケや地衣類に覆われた岩肌を見ただけで岩石種を判断することは難しく、風化面から見えるわずかな情報と雰囲気で推定せざるを得ないから。そんな話をすると「“雰囲気”ってどういうこと?」と聞かれることがあるが、これは何とも説明しがたい。雰囲気、あるいは石の表情という抽象的な表現でしか言えない勘みたいなもの。
この石は、ある程度岩肌が見えているので、流紋岩であろうと判断できる。





しばらく行くとまた別の「荷置石」がある。
この石はころんとしていて、上に荷は置けそうにない。なるほど、荷置きとは、石の上に荷を置くという意味ではなく、荷を置いて休憩する場所の目印、という意味なのだろう。

この石は先ほどの荷置石とは様子が少し違い、白色の石英が表面に見えている。それが全体なのか、見えている場所だけなのかはわからない。見えている部分では、石英が大きさ数mmの結晶の集まりに見えているので、花崗岩の風化面とよく似ている。あるいは石英を主体とするペグマタイトだろうか。ペグマタイトとは結晶が巨大化した貫入岩(岩脈)で、石英や長石の大きな結晶からなることが多い。






湯抱別れを過ぎて、さらに先へ行くと「大名石」がある。これが本日の最終目的地。
この石も石英の塊でできている。先ほどの荷置石よりもさらに石英の結晶が明瞭に見える。周辺に落ちている転石もやはり石英の塊で、この辺りに石英質ペグマタイトの岩脈があるのだと思われる。





帰り際、やなしお坂の九十九折の途中で、穴が空いた転石を見てみる。熱水変質を受けた岩石が風化した時にしばしばこのような穴が空く。そばにある転石は石英と鉄かマンガンの鉱物とみられる脈石。これまた熱水作用の証拠だ。
おそらく、尾根筋を作る流紋岩(粗面岩)が貫入した際か、それに遅れてペグマタイト脈が貫入した時の熱水作用だろう。




やなしお坂からやなしお道の途中までの尾根は、流紋岩質の岩石が基盤となり、その上に水上層が薄く乗っている。
水上層は100万年以上前に河川の堆積作用でできた地層。その河川は、古江の川の前身だろう。大江高山火山が噴出することで、粕淵付近から水上にかけて盆地が形成され、そこに水上層が堆積した。
道の途中にも、礫層に含まれていた円礫がしばしば転がっている。街道に円礫を敷き詰めたかのように見える場所もあるが、もともとそのあたりにあった石が顔を出したものらしい。

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中村様 やなしお道、大名石、荷置石そしてやなしお坂にある岩石等の成分についてよくわかりました。時々ガイドしているので解説の参考とします。以前から気にしていました。ありがとうございます。 

by しぶちゃん ( 2017-02-28 09:02:36 )


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・氏名   中村唯史(なかむらただし)
・生年月日 1968年2月29日
・住所   島根県大田市
・職業   大田の自然史案内人

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