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    2020-01-09 21:34:53 | おーい!中村です!!

亜熱帯の海




山口県の角島大橋。
今や近くの「元之隅神社」とともに観光地となり、休日には大勢の人が訪れている。おかげで、角島に渡る人も増え、島も昔より賑わっているように見える。


実は橋ができる前からこの辺りは国道191号線が何kmにもわたって混雑するほどの観光地だった。

ただし、夏限定。
角島大橋から車で10分ほどの「土井ヶ浜」は北九州・山口エリアで最も人気の海水浴場で、山口ナンバーはもちろん、それ以上に北九州、福岡ナンバーの車が列をなしたのである。

福岡、北九州から見れば途中にいくつも海水浴場があるにも関わらずこの浜へ訪れる人が多い理由は、「亜熱帯のようなエメラルドグリーンの海岸」だからである。

角島大橋が人気になった理由もまた、橋の形状もさることながらその下の海がエメラルドグリーンであることが大きい。





沖縄あたりの亜熱帯を連想させる海の色には理由がある。


ここは「亜熱帯の海」なのだ。

どまん中の直球である。

もちろん、実際には亜熱帯ではない。しかし、暖流が直接海岸に当たるために海中の環境としては亜熱帯に近い。

土井ヶ浜から角島大橋あたりまでの海岸の砂をルーペで見ると、砂粒の70%以上が「貝殻」でできている。暖流は貝殻を溶かしにくい。寒流の海では貝殻は海水に溶けやすいが、暖流の海の貝殻は、砂糖を溶かしていくとやがて溶けない粒がカップの底にたまるのと同じ状態で海岸に蓄積される。

土井ヶ浜は、大部分が貝殻でできた「亜熱帯の砂浜」の、日本海側の北限でもある。
貝殻でできた砂の色は白に近く、それもまた海の色を引き立てる。

栄養分に乏しい暖流はプランクトンの量が少なく、透明度が高い。
海底の砂まで光が届き、エメラルドグリーンを際立たせる。もちろん、熱帯から亜熱帯の海も同じ理由でエメラルドグリーンである。



そして、亜熱帯の海がもたらしたものは景色だけではない。

土井ヶ浜にある「土井ヶ浜遺跡」は弥生時代の人骨が多量に出土し、日本人のルーツを知る上で極めて重要な遺跡である。

日本列島は基本的に酸性土壌のために骨は溶けて失われることが多いが、土井ヶ浜の砂は貝殻でできているために、その中に埋もれた骨が溶けにくい。地下水は炭酸カルシウムに飽和した状態になるために、骨を溶かさないのだ。

亜熱帯の海は、弥生人が縄文人と異なる身体的特徴を持っていた証拠を残し、日本人のルーツが複雑であることを明らかにした。
角島大橋の風景の奥には、こんなストーリーがあるのだ。





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・氏名   中村唯史(なかむらただし)
・生年月日 1968年2月29日
・住所   島根県大田市
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