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    2022-09-23 15:37:25 | おーい!中村です!!

三瓶温泉をカガクする(その2)


○湯はどこからやって来た?

 温泉を温めたのは、マグマか、岩石に残る熱か、地下深くの温度か、このいずれかであることはわかった。

 では、温泉の湯のもとになる水はどこから来るのだろう?

 温泉の水の起源は、温泉の基本中の基本のような話だけど、はじめに書いたとおりその手がかりが得られるようになったのは最近のことだ。以前は、2つの説が対立していたという。

 水の起源として考えられてきた2つは、マグマの中の水と地下深くに染みこんだ地下水だ。今は地下水が大部分だが、マグマの中の水が混じっていることもあると考えられている。

 ここで少し意味がわからない言葉が出てきた。「マグマの中の水」だ。マグマは岩石が1000℃を超える高温で溶けたもの。そんなものに水が入っているのか?

 水は100℃で沸騰してガス(水蒸気)になる。マグマの中に含まれることなどできそうにないけど、地下深くにあって大変な圧力がかかっているマグマには水が含まれるのだ。それも大量に含まれる。その水は、かつて海の底にたまった堆積岩からやってくる。ちょっと想像を超えた世界かも知れないが、とにかくマグマには水が含まれる。

 地下深くにマグマがある時、水はマグマの中に閉じ込められているけれど、マグマが上昇して圧力が低下すると外に出てくる。これが温泉のもとの候補というわけだ。

 マグマに大量の水が含まれると言っても、新しいマグマが次々にやってこないと水もなくなってしまいそうだ。温泉のもとして、マグマの中の水よりももっと多いと思われる水が、地下深くに染みこんだ地下水だ。

 地表に降った雨は、川から海へ短時間で流れてしまうものと、地中に染みこむものがある。川や湖にある水の量に比べて、地下にたくわえられた地下水の量ははるかに多い。その一部はわき水になって再び地上に流れ出るが、一部はさらに深く染みこんでいく。その水がマグマや地下の熱で温められて温泉になるのだ。

 三瓶山の場合、山の部分はひび割れだらけの溶岩と火山灰などの土砂でできているので、雨水が染みこみやすい。さらに、山の下の岩盤は、何回も噴火が繰り返されたことでボロボロになっていると考えられる。そこに染みこんだ水がマグマの熱で温められたのだ。染みこみやすさとマグマの熱。これが三瓶温泉の豊富な湯量を支えていると考えられる。

 地下深くに染みこんだ水には、周辺の岩盤の成分が溶け込んでいく。冷たい水には岩石の成分はそんなに溶けないけど、それでも長い時間がたつと岩石も溶ける。さらに、水の温度が高ければ溶ける量が多くなる。温度が高い温泉でも、湯に溶けている成分の量にはばらつきがある。単純泉と呼ばれるものなどは岩石の成分はあまり含まない。三瓶温泉の場合、カルシウムやナトリウム、鉄などを大量に含み、湯船にためると底が見えないくらい濁っている。地下水をたくわえている岩盤が、溶けやすい成分の岩石でできているのかも知れない。

 なお、地下深部の岩盤からしぼり出されるように出てくる「プレート水」というものや、昔の海水を含んだ地層からやってくる「化石海水」も温泉に影響している場合があると考えられているけれど、このことは一旦おいておこう。

 

○なぜわき出てくるの?

 三瓶温泉は、孫三瓶山の南の谷(湯ノ谷)に源泉があり、1分間に3000リットルもの湯がわき出ている。25mプールを3時間でいっぱいにできる量だから、温泉宿や共同湯はその一部を使えば十分足りる。ほとんどは川に流れているのだから、もったいないと言えばもったいない。ちなみに、自然にわき出る湯の量としては、中国地方では岡山県の湯原温泉をおさえて堂々の一位、「中国大会優勝」だ。まあ、全国にはまだまだ上を行く「強豪」温泉がいくつもあるけどね。

 さて、湯量のことは置いておいて、地下深くで温まった湯がわき出る理由を考えてみたい。さっき、湯のもとは深く染みこんだ地下水が多いと書いた。下へ、下へと染みこんだ水が温泉水になったら上がってきてわき出るって不思議だよね?

 三瓶温泉の場合は、マグマが地下のわりと浅い場所にあると思われるけれど、それでも孫三瓶山の上のあたりに熱いマグマがあるわけではない。山の下に、おそらく数kmの深さだろう。湯はある程度深い場所から上昇して地表にわき出しているのだ。地下でも重力が働いているから、地下水は下へ下へと染みこむ。それに逆らって上昇するには、何かの力が必要だ。

 温泉の湯を地上に押し上げる力の候補は、ガスの圧力だ。ここで言うガスとは、水蒸気や二酸化炭素などの気体(gas)という意味だ。

 ガスが湯を押し上げると言っても、想像できないかも知れない。身近な例があまりないのだけど、サイフォン式のコーヒーメーカーを知っているだろうか? こだわりの喫茶店あたりに行かないと使われていないので、見たことがない人が多いかも知れない。でも、これが湯を押し上げる例としてぴったりなので、コーヒーメーカーで説明しよう。

 このコーヒーメーカーは、上下2つのガラス容器に分かれている。上の容器は「じょうご(ロート)」のように管が伸びていて、その管を下の容器に差し込んだ状態でぴたっとつなげる。下の容器は丸くて、そこに水を入れる。コーヒーの粉は上の容器に入れる。管の部分にフィルターがあるので下には落ちない。この状態になったら準備完了。次に、アルコールランプなどを使って、下の容器の水を温める。温度が高くなって水が沸騰するようになるとあら不思議、下の容器の水は管を通って上の容器に移動をはじめる。

 水が移動する理由はガス。下の容器の水が沸騰してガス(水蒸気)になると、その体積は1700倍にふくらむ。下の容器はぴたっと閉じているので、ガスは水面を強く押す。すると、押された水は管を通って上昇するというしくみなのだ。

 これと同じようなことが温泉の地下で起きている。三瓶温泉の場合は二酸化炭素をたくさん含んでいるので、これもふくらもうとして湯に力を加える。コーラなどの炭酸飲料が一気に泡立って吹きだすことがあるけれど、それと似ている。

 水蒸気、二酸化炭素、あるいは他のガスの場合もあるだろう。そのガスがふくらむ力が、温泉を地表まで押し上げるのだ。まれに、一定の間隔で湯を高く吹き上げる間欠泉というものがある。島根県にもあり、吉賀町の木部谷温泉では20分に1回、1.5mほどの高さに湯を吹き上げる。湯がたまっている場所の形とガスのたまり具合によって、そのような現象が起きるのだろう。

 ガスが温泉を押し上げる。いろいろな作用が温泉を生み出すんだね。

 じゃあ、今回の温泉のカガクはここまで。

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・氏名   中村唯史(なかむらただし)
・生年月日 1968年2月29日
・住所   島根県大田市
・職業   NPO法人石見銀山協働会議 理事長

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