夕方、辺りが暗くなってから三瓶山だけが赤く光っていたけど、どうしてでしょうか。
そういう質問がありました。
同じような様子を2回目撃したことがあるけど、身近な人は信じてくれないということ。
その質問をなさった方が見た光景がどういうものだったのか、実際のところはわからないのですが、時折、夕方に大田市街から見ると辺りは日が暮れて暗くなりかけているのに三瓶山は明るく日が当たっていることはあります。
おそらく、質問をなさった方は、同じような条件の日に三瓶山を見たのでしょう。
朝夕に、麓は暗いのに山には日が当たっているという現象は、高い山ではごく普通に見られます。
「赤富士」という言葉がありますが、これは朝日か夕日が雪の富士山を照らした様子です。
高い山は、平地からの目線では太陽が水平線(地平線)に沈んだ後もしばらく日が当たります。
極端なのはヒマラヤで、朝は辺りが暗いうちに8000m級のピークに日が当たり小さなダイヤモンドのように輝いたと思うと、明るいエリアがすうっと下へ広がり、山肌が赤く照らされます。夕方は逆で、赤いエリアが小さくなり、最後、ピークがふっと暗くなった時には辺りは真っ暗。
富士山くらい高い山、しかも周囲よりひときわ高い山では、同じ現象を見ることができます。
大山も積雪時の夕方には「赤大山」に姿を変えることがあります。
(雪が夕日を映すスクリーンになります。夏山ではそれほど赤くはならない。)
三瓶山の場合は、普段は「赤く光る」というほどの印象を受けることはありません。
それは、高さの不足が原因と考えられます。高さの差がない場合、日の出時、日没時の太陽光の当たり方が平地と差が小さく、明るさに差が生まれません。このコントラストが、高山を赤く光らせるポイントなのです。
裏を返せば、コントラストが高くなる条件が揃えば、三瓶山も赤く輝くことがあるのかもしれません。
山の高さは変わりようがないので、それ以外の条件です。
考えられることは、雲の位置。
大田市街から三瓶山の上空にかけては厚い雲がかかっているのに、西の空は晴れているという瞬間は、冬場のしぐれ時には決して珍しくありません。
この条件の時、低角度で差し込んだ西日が三瓶山を照らしたら・・・
周囲は暗いのに、三瓶が赤く光っているという状態が生まれそうです。
下のような状態です。
はたして、「赤三瓶」を見ることができるのはどんな条件の時なのか。
冬の夕方、大田市街から見える三瓶山に注目してみてください。
