2015年3月のエントリー
2015-03-19 22:00:49 | おーい!中村です!!
春の香り

香りや音楽はしばしば記憶を呼び戻す。
春先、ちょっとした林のそばなどで、独特な香りを感じることがある。その香りを感じる度に、小学生の時に幾度か遊びに行った防空壕を思い出し、同時に何の香りなのかずっと気になっていた。それは花の香りのようでありながら、いい香りとは言い難い、何とも奇妙な匂い。気になりながらも、いかんせん匂いは説明することもできず、文字や写真を見てもわからず、そのまま月日が過ぎていた。
今年も寒さが緩み始めた頃から、時折この香りを感じて、やはり何だろうと思いながら、一方できっと分からず終いで季節が変わってゆくのだと思っていた。
ところが、思いがけず、いともあっけなく、その正体を知ることができた。海岸にある大きな海食洞窟を見に行くために山道を歩いていると、あの香りが漂ってきた。はじめはどこからか流れてきた香り。二度目にその香りを感じた時、目の前の低木に小さな花が鈴なりに咲いていることに気づいた。これかも知れない。葉はサカキに似ている。さらに道を進むと、また同じ香りがただよい、そばには同じ花が咲いていた。
「これか。」
帰宅して、サカキ、春、香り、と文字を入れて検索してみると、ヒサカキの名前が出てきた。「ネコのおしっこの匂い」、「異臭」という言葉も。あの香りの正体が気になっている人が結構いたのだ。そして、多くの人はかなりの悪臭と感じているらしい。確かに、決してかぐわしい香りではないが、それほどいやな匂いと思わないのは、防空壕で遊んだ記憶とつながっているからかも知れない。