2015年6月のエントリー



    2015-06-15 10:32:07 | おーい!中村です!!

M5.0のカラクリ


6月10日までに、山陰地方を震源とする、マグニチュード5程度の地震が起きるという「予知」があったそうだ。

予言ではなく予知。

予知を行った先生は、これまでにかなりの高確率で地震発生を的中させているらしい。

 

その期限を5日過ぎた。

今のところ、このエリアで、マグニチュード5程度の地震は発生していない。

 

これをどう受け止めるべきか。

 

この「予知」の根拠は、地震に起きる岩盤の小破壊によって発生する電磁波の観測に基づいている。

岩盤に強い力が加わることで電磁波が発生し、ラジオのような受波装置によって「ノイズ」として検出されるらしい。

同様の調査を進めている人や団体もかなりあるようだが、今の所、主流の手法にはなっていない。

岩石を加圧し、破壊が発生する際に電磁波が発生することは実験的に確かめられてはいるものの、観測されるという異常電磁波と地震の関係の説明が十分にされているとは言えず、過去の事例においても、地震前に異常電磁波が観測されたこと(予知成功)もあれば、両者の関係がなく地震が発生したり、しなかったり(予知不成功)と信頼性に欠ける。

 

少しうがった見方をすれば、地震予知には、「占い」と似た匂いも感じる。

 

占いでは、「高確率で、誰にでも起こりうる事象」を複数人に「予言」することで、その中の何人かに事象が発生すれば「当たった」ということになる。

 

地震の場合、地域によって発生確率が大きく異なる。

また、地震規模によっても発生確率は異なり、こちらは平均化すれば規模と確率は綺麗に相関している。

 

すなわち、“発生確率が高い地域”で、“発生確率が高い規模の地震”が起こる、という「予知」をいくつも行っておけば、そのうちのいくつかは「的中」する。

その偶然が数回続けば、もう立派な「地震予知成功」となる。当たった部分だけをピックアップしておけば良いのだ。

 

例えば、6月に入ってから日本で起きたマグニチュード5以上の地震を挙げてみよう。

M5は、直下で起きればかなりの揺れを感じる規模の地震だ。

 

6月3日  M6.0 父島

6月4日  M5.0 釧路

6月8日  M5.5 青森

6月10日 M5.6 三陸

6月11日 M5.8 三陸

      M5.7 三陸

      M5.4 三陸

 

7回もある。

長期間の平均からみれば、異常に高い発生頻度で、これは東北地方太平洋沖地震の余震や誘発地震の影響が大きい。

この偏りを利用すれば、「6月30日頃までに、東北地方太平洋側を震源とするマグニチュード5程度の地震が起こる。」という「予知」が的中する確率は極めて高いことは容易に予想できる。

 

上の例は極端な事例ではあるが、これほどではない通常期でも、「伊予灘付近」、「紀伊半島付近」、「鳥取島根県境付近」でマグニチュード5程度という具合に複数の網をかけておけば良い。

発生確率が高い地域は、過去数年の傾向を見ればすぐにわかる。

 

そしてもうひとつ、「マグニチュード◯◯程度」にカラクリがある。

5程度との予告に対し、3〜4クラスが発生しても、「ほぼ当たっているじゃないか!」と受け止めはしないか。

マグニチュードが1違うと地震規模は約30倍の差があり、「同じ程度」とは言い難い。しかし、M3.9とM5.0という数字だけを見たとき、それほど差はないと感じてしまう。

そして、マグニチュードが1違うと、発生確率は対数的に変わってくる。日本列島では、M3からM4クラスの地震は頻繁に発生しているのだ。

 

「マグニチュード5程度」という網で、3〜4クラスを引っ掛けたら、「的中」というイメージを作り出すことができる。

M3〜4クラスは大きな群れで泳いでおり、網にかかったその1匹だけではないにも関わらず、特別な1匹を一本釣りで捕まえたかのように演出できるのだ。

 

「地震予知」には、このような要素がある。出来すぎた話は眉に少し唾をつけてから聞いた方が良い。

 

とはいえ、電磁波による予知の可能性は否定できない。

地震発生前の異常電磁波は、昔から知られている動物の異常行動とも関係があると推定されており、資料の蓄積とメカニズムの解明が進めばより高い精度の予知が可能になる手法かも知れないのだ。

「予知」する側も、聞く側も、怪しげな人達やマスコミのまやかし的なイメージ作りに乗ってしまわない慎重さが必要だろう。

コメント(0件) コメント投稿

コメントはありません。



トラックバック(0件) トラックバックURL:

トラックバックはありません。




ブログトップ

カテゴリ選択

エントリーカレンダー

<<  2015年6月  >>
31 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 1 2 3 4

最近のエントリー

最近のコメント

最近のコメントはありません。

最近のトラックバック

最近のトラックバックはありません。

エントリー履歴

プロフィール

・氏名   中村唯史(なかむらただし)
・生年月日 1968年2月29日
・住所   島根県大田市
・職業   NPO法人石見銀山協働会議副理事長

会員ページ


rss

携帯サイトアクセス用QRコード

QRコード