2018年4月のエントリー
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続・島根県西部(大田)地震
4月9日の地震では、被害が大きかった地域とそれほどでもなかった地域がかなりはっきり分かれた。
それはどの地震でも同じことが起こるのであるが、今回の震度は建物の損壊などが出る境界あたりだったために、地域の条件での違いが大きかったのかもしれない。
建物や地盤変形の被害は、三瓶町志学地区、富山町、久手町波根西、波根町、鳥井町の一部などが多かったと聞く。これらの地域は、原因断層の延長上にほぼ重なることから揺れが大きかったということがあるのかもしれない。
しかし、同じ地域内の狭い範囲で被害に明確な差があったらしく、単純に揺れの大きさが被害に繋がったわけでもなさそうだ。
現地を調査したわけではないが、被害が大きかったという地点に共通する条件のひとつに、地盤の形成にいたる地史とそれによる地盤の性質があるように感じる。
久手町をはじめ、海岸部では沖積低地で被害が発生している。その中でも被害に明確な差があり、沖積低地全般で被害が大きかったわけではないようだ。
久手町波根西、久手町柳瀬では、砂州として形成された地盤と岩盤が露出する地点の境界部に被害が多い。そこは砂州の後背低地であったり、川跡だったと推定される場所だ。鳥井町で被害が集中したのも、砂丘と岩盤に挟まれた後背低地である。それらの地点は、地盤がごく新しく、周囲よりも軟弱な地層が分布している可能性が高い場所である。
富山町の場合は、震源に近いことと、地すべり地帯が鍵になりそうだ。過去に動いた地盤と被害の関係が予想される。
三瓶町志学で被害が大きかったことは、より震源に近い三瓶町多根、山口町の北三瓶地区で被害が少なかったことと対照的である。三瓶山を挟んで南と北にあたる両地区の違いとして、志学は三瓶カルデラの内側、北三瓶はカルデラの外で花崗岩地帯であることが挙げられる。
カルデラ内部は火山礫、火山灰からなるゆるい地盤であるのに対し、花崗岩地帯は地震に対して最も強いと言われる地盤である。その差が被害の大小を決定づけた可能性がある。
以上のことは、予想でしかないのだが、今後被害状況とその土地の地盤を重ね合わせると具体的な傾向が見えてくると思われる。
その作業を行うことは、「次」への対策として有効なのではないだろうか。
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