2020年4月のエントリー



    2020-04-14 21:24:31 | おーい!中村です!!

北山の松



12月以来、出雲の北山に幾度か登っている。 縦走路などメインの登山道がよく整備されていて、いろいろな登り方ができるので面白い。 北山に登ると朽ちた松の倒木や白骨化した枯れ木がある。 30年余り前に松江で暮らし始めた頃は、松枯れ被害のニュースをよく見聞きしていた。 薬剤散布の盛んに行われていたが、麓から見上げる山には茶色く枯れた松が目立ち、立ち枯れて白骨化した立木が「自然破壊」の象徴のように立ち並んでいた。 「松が枯れて、北山は禿山になってしまうのではないか。」 そんなふうに心配する人も多かった。 ところが、古植生を研究していた島根大学の大西先生はぼそりと次のように言った。 ぼそりと話すのは大西先生の味であった。 「松はどうせ枯れるんだよ。薬をまいて逆らうのは無意味だ。」 松は裸地化した土地に最初に生えて松林を作るが、やがて暗い場所でも育つ「森を作る木」が育ち始めると松は減っていく。裸地と海岸のような過酷な環境で生きるのが松の「生きる道」なんだ。 そういう話だったと思う。 そして、松が消えた後にはその土地に適した「森を作る木」が優勢になり、安定した森に変わっていく。それが森林の姿であり、松を残そうとすることは自然の摂理に反する行為だと。 松枯れの直接の原因はマツザイセンチュウであるが、それに負けるのは松林が限界を迎えているのでもあり、いずれ松は大半が消えるのだと。 果たして、それから30年。北山には多種多様な樹木が育ち、広葉樹の森に変わりつつある。 松もすっかり消えたわけではなく、尾根筋などにしっかりと残っている。薪炭林として伐採され続けた山から、自然状態の山に戻りつつあるのだ。 百年、千年の単位での植生変化を研究した先生の言葉は、当時のどちらかといえば感情論的な自然保護とは一線を画し、冷静で科学的なものであったのだと感じる。

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・氏名   中村唯史(なかむらただし)
・生年月日 1968年2月29日
・住所   島根県大田市
・職業   NPO法人石見銀山協働会議副理事長

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