2021年9月のエントリー



    2021-09-08 19:09:42 | おーい!中村です!!

一枚岩くり抜きの「宇谷トンネル」がすごい!





大田にこんなトンネルがあるとは驚きだった。

 仁摩町内の大国と馬路をつなぐ県道290号大国馬路停車場線にある「宇谷トンネル」である。一枚岩の岩盤をくり抜き、トンネル入口までの切り通し部分も削り出しで構造が作られ、独特の存在感を見せている。


 トンネル内部こそモルタルが吹き付けられて、落盤防止の支保工が一部に施されているが、形状は建設当時とほとんど変わっていないと思われる。岩肌は苔むして時間の長さを感じさせるものの、目立つ劣化はない。建設年は明治30(1897)年とのことで、すでに124年が経過しているにもかかわらずだ。

 さらに驚くべきことは、入口の上部に掲げられるトンネル銘板までも岩盤の削り出しで作られている。銘板の文字は右から左の並びで、「宇谷隧道」の文字が見て取れる。


 明治時代から残る現役トンネルはかなり貴重な存在で、全国を見渡すと文化財指定されているものもある。宇谷トンネルの場合、古さもたいしたものだが、やはり一枚岩くり抜きという“原始的な”工法で作られたものがほぼ形を変えずに残っていることに大変な貴重性がある。
 小規模なトンネルではくり抜きのものを時折見かけるものの、入口の切り通し、小段切りの全てが削り出しの形状の類似例は少ないのではないだろうか。


 このような構造のトンネルが存在することは、岩体の性質のおかげに他ならない。

 宇谷トンネルは凝灰岩の山に掘られている。厚く均質な地層で、亀裂がほとんど見あたらない。これは日本列島が形成された時代の火山の噴出物で、大火砕流によって一気に堆積したものである。
 火砕流の堆積物は均質であることが多く、火山灰や軽石を主体とするものは岩質の柔らかさのおかげで亀裂が入りにくい。この岩質のおかげで、くり抜き、削り出しだけで構造を維持できる。ほかの岩石ではなかなか真似できないものだ。類似例はほとんどないと思う根拠はそこにある。均質で厚い凝灰岩の地層がなければこのようなトンネルは作り得ない。人がやっと通ることができる小さなものならともかく、自動車が通ることができ、長さも100mを超えるとなると、よほど条件が良くなければ作ることが難しい。それが現代まで残る可能性を加えると、類似例はほとんどないと推理したい。

 宇谷トンネルがある道は、かつては馬路と大国をつなぐ主要道だった。建設当時、大国には大森鉱山永久製錬所があり、この道を使って馬路から製錬所へ石炭が運ばれたという。大森鉱山は大正12(1923)年に休山、その後、この道の重要性は薄れ、大規模な改築がないまま現在に至ることになった。結果、貴重なトンネルが残ることになったと想像される。


 さて、このトンネルに何らかの評価がされる日が来るだろうか。
 「文化財級」と言えそうだが、近代建築物は当時の技術を物語る工法が評価点になることが多い。このトンネルの場合、最もシンプルな「掘る」という技術だけで作られており、その点をどう評価すれば良いのか、土木建築の歴史に詳しい人に聞いてみる必要がありそうだ。

 文化財としての評価は簡単ではないかも知れないが、その独特な存在感は「フォトジェニック」な存在で、わざわざ訪ねて行く価値があると思う。まずは観光素材として活用の道を探したい。凝灰岩ならではのトンネルなので、日本遺産「石見の火山が伝える悠久の歴史」のストーリーにもぴたりと当てはまる。構成文化財に値する価値があると言ってもいいだろう。





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プロフィール

・氏名   中村唯史(なかむらただし)
・生年月日 1968年2月29日
・住所   島根県大田市
・職業   NPO法人石見銀山協働会議副理事長

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