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    2017-02-07 12:03:40 | おーい!中村です!!

まちなかの坂




大田には「トリス」というバーがある。開高健曰く、“ドブの臭いと熱気が街中に満ちていた”時代に寿屋(現サントリー)が全国展開した庶民向けのバーのひとつで、当時のまま現存する唯一の残り火。

大田市駅を背に駅通りを進み、右の路地に入るとその先にトリスがある。
50年前から変わらないという店構えのドアを開けたいところだが、そこは少し我慢して通り過ぎ、10mも進むと道は下り坂になる。その高低差はほんの2mあまり。

どうってことない小さな坂なのだけど、そのつもりでみると、駅通りの西側に必ずこの坂がある。
駅通りは市街を通る旧国道(中央通り)と合流するが、合流した先の中央通りの西側にもこの坂がある。

坂の傾斜は場所ごとに違うけど、高低差はおおむねどこでも2~3m。

この高低差は、大田の町の発展と深い関わりがある。
大田の中心街は平野に立地し全体に平坦だ。その平野を三瓶川が流れている。大田の古い町は平野の東側を中心に形成され、次第に西へ広がった。中世から近世の通りが一番東、近世末から明治時代に西側に旧国道ができ、大正時代に駅通りができた。
大正時代に駅と駅通りができた時、小崖のきわ近くに駅を作り、小崖にほぼ沿って駅通りを通した。この小崖の下は湧水が多い場所で、当時はおそらく湿田。小字に「落井」というものがあり、水が湧いていたことがうかがわれる。
その後、昭和に至るまで、町は基本的に小崖の上にあり、下は水田だった。

小崖の下の開発が進むのは昭和30年代。市民会館やグリコの工場ができ、昭和通りが通ってから市街地化が進んだ。
今では、小崖が町を境していたことは気づかないような状態になっている。

坂を確認したら引き返し、トリスのドアを開けてみましょうか。

店の空気にも町の歴史が閉じ込められている気がする。

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・氏名   中村唯史(なかむらただし)
・生年月日 1968年2月29日
・住所   島根県大田市
・職業   大田の自然史案内人

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