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    2017-02-12 22:26:20 | おーい!中村です!!

まちなかの坂2


 大田市の市街地は、駅通りの西に接する小崖の上段に形成され、昭和30年代以降、下段側へも広がっていった。
 この高低差は、過去数千年間に形成された地形で、小規模な沖積段丘にあたる。段丘とは、現在の河川や波浪によって堆積作用や浸食作用が働いている地形面より高い地形面のことで、基本的には古い時代に形成された地形面だ。沖積段丘は高低のいずれの地形面も1万年前以降(完新世)の新しい時代に形成されたもので、古くはこの時代を「沖積世」と呼んだことからこのように呼ばれる。

 大田の平野(以下、大田低地という)で見られる沖積段丘は、三瓶山の火山活動と関係して形成されたものだ。
 三瓶山は過去約1万年間に3回の活動を行っている。そのうち、約5500年前と約4000年前の噴出物が大田低地の大部分を作っている。
 火山活動時には多量の土砂が供給され、低地部では一気に堆積が進んだ。その後、火山活動が終息すると土砂の供給量が減少し、火山活動時に形成された地形面は段丘として取り残されることがある。市街地の沖積段丘は、上段が約4000年前に形成された地形面で、そこを侵食して三瓶川が流れることで下段の地形面が形成された。

 同様の地形は、出雲平野西部でも見られる。おおむね県立中央病院以西で、古くから市街地化が進んだ部分は三瓶山の活動時に形成された沖積段丘面なのだ。そこはより古い時代から土地利用が進んでおり、沖積段丘面は弥生時代以降の集落遺跡が集中する場所でもある。川よりわずかに高い地形面を居住地として使い、低い土地を水田などに利用していたのだ。

 大田市の市街地も、三瓶山の噴火で形成された沖積段丘上から広がっていった。駅通りの西にある「まちなかの坂」には、この土地の歴史が刻まれている。

コメント(4件) コメント投稿


沖積段丘と氾濫原の区分は難しいでしょうね。大きな河川が流れる平野では、氾濫原と河床の間に大きな高低差がある場合もあるでしょう。逆に、小さな川が作る地形では、高低差が小さくても離水している場合もあるだろうと想像します。

私見ですが、沖積段丘とみるかどうかは、その地形面が形成された地史的な経緯と地形的な連続性の評価次第と思っています。出雲平野西部と大田低地の場合、三瓶火山の活動時に異例な規模の土砂供給で形成された地形面がその後開削されて浅谷が形成されているという地史がポイントだと思います。この面の末端部は氾濫原と識別できない部分もあるし、同時間面を上流側に追っていくと高低差10m以上の河岸段丘を形成していることになります。こういう地形面は沖積段丘と呼んでも良いのではないかと考えています。

by なかむら ( 2017-02-16 23:27:28 )

早速のご教示ありがとうございました.
氾濫原と沖積段丘に関して,思い出したことがあります.
2016年8月に岩手県岩泉町で高齢者グループホームが被災しました.グループホームは氾濫原に立地していると考えましたが,ある地形学者から沖積段丘では?という指摘を受けました.洪水で浸水した場所を沖積段丘と呼ぶのはおかしいので私は氾濫原で通しましたが,氾濫原と沖積段丘の区分の難しさを感じました.洪水で浸水した場所は氾濫原と考えるのが一般的と思いますが,どうなんでしょうか?

by Mr.T ( 2017-02-14 11:03:42 )

沖積段丘は、完新世に形成された段丘(状)地形です。自然堤防などとの区分を明確には出来ないので曖昧な用語なのですが、現在の氾濫原に対して明らかに離水していればこう呼んで良いと考えています。
出雲平野西部では、神戸川の現氾濫原に対して高位の面は沖積段丘にあたります。その境を示した図は、遺跡報告書か塩冶町誌かでざっくりしたものを作ったことがあります。出雲平野西部の場合、「沖積高位面」(今作った造語です)にさらに高低差があり、それが遺跡分布に関係しています。その高低差は平野面上の旧河道などと関係し、ごく微妙なので図示は難しいです。

by なかむら ( 2017-02-13 19:42:35 )

「沖積段丘」ですか.興味深いですね.
極々簡単に言えば,完新世の段丘地形と考えて良いでしょうか?
それと,出雲平野における沖積段丘の分布図がありましたら,その文献を教えで下さい.

by Mr.T ( 2017-02-13 11:55:16 )


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・氏名   中村唯史(なかむらただし)
・生年月日 1968年2月29日
・住所   島根県大田市
・職業   大田の自然史案内人

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