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    2018-05-25 22:31:46 | おおだスタイル(素原稿)

子どもへの思いが生んだ逸品


 爽やかで心地よい香りと酸味が魅力のユズは、ミカンの仲間としては寒さに強いらしく、そういえば島根県の山間部でも黄色い果実が鈴なりになっている光景を見かける。

 最近、大田市では地元産のユズを使った柚子胡椒が静かな人気商品になっている。九州に多い黄緑色のそれとは異なり、唐辛子をたっぷり使って熟成された赤い柚子胡椒は、頭のてっぺんに突き抜けるような辛さの中にユズの香りと旨味がしっかりと感じられ、和洋問わず料理を引き立てる。その美味しさが口づてに広まってファンが増え、初冬の頃にその年の商品が売り出されると、先を争うようにまとめ買いする人もある。

 柚子胡椒を生産しているのは大江高山のふもと大代町の住民団体「大代ゆずっこくらぶ」だ。中世の面影を留める町並みの古民家を拠点に手作りしている。

 もともと、柚子胡椒の生産は「大代保育園父母の会」の名の下に平成24年に始まった。当時、保育園は園児が減少し、運営経費が不足しがちだった。その状況に、地元有志が地場産ユズを使った商品開発と販売を提案、保護者とボランティアによる柚子胡椒の生産が始まった。当初は、材料のユズ以外は何もなかったが、生産設備を自作するなどの工夫とアイデアで道を拓いた。そして、薄墨がにじむように商品はじわりと認知され、経費の支援という目的は果たされた。しかし、平成27年春に保育園は閉園。当初の目的が失われた一方で、すでにファンは柚子胡椒の生産を待っていた。そこで、大代町の特産品として生産を継続すべく有志らが立ち上がり現在に至っている。

 人気の高まりとともに、遠方から通販を依頼する声もあるが、返答は「大田に来れば買えるで」とそっけない。その言葉には無理して増産や販路拡大をせず、できる範囲で持続させるという堅実さと、気に入ったなら大田に来て購入して欲しいという地域振興へのこだわりが垣間見える。大代町の柚子胡椒は、地域の子どもを支える思いが結実した、ピリッと辛い名物だ。

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・氏名   中村唯史(なかむらただし)
・生年月日 1968年2月29日
・住所   島根県大田市
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