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    2018-09-16 21:48:20 | おーい!中村です!!

天皇陛下の揚げ出し豆腐


今春、大田の小料理屋が一軒そっと暖簾を下ろした。
品書きの数は決して多くはないが、なんのてらいもなく地元の食材を使った味と歳90まで数えた店主の元気な笑い声にひかれる店だった。


カウンターに座りビールを注文すると、店主は「ヤマメを焼こうかね?」、「わさび漬けを漬けたけど、食べるかね?」と問うてくる。昔ながらの小料理屋スタイルで、全くお任せしてしまってもあれこれと程よく作ってくれる。


「揚げ出し豆腐食べるかね?」
もちろん、と答えると店主の顔に笑みが浮かぶ。店主の自慢料理は揚げ出し豆腐だ。


店主が簡保センターで料理人をしていた若い頃、三瓶山で植樹祭が行われ天皇陛下が簡保センターに宿泊された。
夕食の時、陛下はある一品に興味を持たれたという。何という料理か、どうやって作るものなのか。質問に答えるため、急遽その一品を調理した店主が呼ばれたという。
説明の後、陛下から美味しかったという言葉をいただいた。
その料理が、揚げ出し豆腐だった。


「揚げ出し豆腐のような居酒屋料理なんて、天皇陛下はお食べになったことがなかったらしく、ずいぶん関心を持ってくれてね。」


戦前、戦中を知る店主にとって昭和天皇は特別な存在だろう。戦後生まれが抱く感覚とは全く違うはずだ。その陛下から美味しかったという言葉をいただいたことは大変な名誉だったと想像する。
その言葉は長きにわたって店を続ける支えになったのではないだろうか。
たっぷりと汁に浸った揚げ出し豆腐を口にするたびに、そんなことを考えた。


三瓶山で2度目の植樹祭について思うことを店主に聞きながら揚げ出し豆腐を食べる機会がなかったことを少し悔やんでいる。

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・氏名   中村唯史(なかむらただし)
・生年月日 1968年2月29日
・住所   島根県大田市
・職業   大田の自然史案内人

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