ふなやんの日々是好日


【口上】
  我が輩は、見ての通りの猫である。あの文豪の作品に登場する猫に倣わずとも、名前はまだない。勝手に住み着いた家の主は食い物をくれても、名前など付ける気配は毛頭ないようだ。
 ここに住まいをいたして、様子はいろいろ変わった。なんでも2007年夏、一帯の石見銀山遺跡とやらが、すったもんだの挙句、日本では14番目という世界遺産に選ばれたとか。難しいことはよく分からんが、人間どもがそう騒いでおった。
 やがて秋になると、家の前を観光客で満員のバスが行ったり来たり。ずっと昔、銀を掘り出した穴倉の見物だそうだ。我が輩はネズミを追いかけて、薄暗い穴によく飛び込むが、人間もそんな場所が好きだったとは意外である。
 そうこうするうち、今度はバスの騒音や排気ガスという、ネコの頭にはちんぷんかんぷんの環境問題というものが持ち上がった。確かに、のんびり昼寝もままならぬ。ここにも山の神さまがいるのだろう。ある朝、でっかい岩が道を塞いでいた。
 以来、我が輩の目の前からバスの往来は途絶えたままだ。きょうも静かに日が暮れる。晩飯も食ったし、後は寝るだけ。ありがたや、ありがたや。(
島根県大田市にて) 

【人間も一言】バスによる環境問題(排気ガス・騒音・振動)は、急増した観光客のために、元からあった路線バスの運行を大幅に増便したために起こりました。この落岩事故を契機とし、地元自治会の要望を受ける形で、2008年10月から坑道(龍源寺間歩)の見学に向かう路線バスの運行は全面廃止になりました。 

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    2017-05-03 10:35:05 | ふなやんの日々是好日

萌黄色の季節


木々の新緑が目に眩しい。林の中の遊歩道を歩くと、普段なら気にも留めない木の葉が逆光に透けて輝き、「おっ」と足が止まる。萌黄色のイルミネーション。

国語辞典は、萌葱をこう説明している。

もえ‐ぎ【萌葱・萌黄・萌木】
〘名〙 《葱(ねぎ)の萌(も)え出ずる色の意》
黄と青との中間色。やや黄色がかった緑色。また、織物の色で萌葱色のもの。

この写真の場合、「やや黄色がかった緑色」がぴったりだ。

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プロフィール

●なまえ…船津健一●住んでるところ…2005年春、会社の人事異動で神戸市から島根県へ。4年後、定年退職するも引き続き島根に在住。自宅は神戸市中央区山本通にあり、気が向くと帰省するという二地域居住中●飼っている動物…ワンが1(英語で発音してください)
●好きな食べ物…しまね和牛、どんちっちノドグロ(の干物)、蕎麦、鮨、カツ丼、餃子、納豆、自分で作った、カレーと焼き飯とパスタとオムライス●仕事…フォトエッセイスト/日本写真家協会会員







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